貿易/物流 お役立ちコラム
貿易に関する基礎知識

【貿易に関する法律集】注意しておきたい国際法

【貿易に関する法律集】注意しておきたい国際法

貿易をする際には、法律や貿易に関する決まりごとを常に意識することが重要です。なぜなら、習慣も言葉も通貨もすべてが違う国との取引について、曖昧な情報や口約束では正確で安全な貿易は成り立たないからです。今回は、常に考えておくべき国際法や条約について簡単にご説明します。

貿易に関する国際法や協定について

貿易にはそれぞれの国で定められている国内法の他にも、国同士で共通認識を持つための決めごとがあります。今回は、代表的なGATT協定、IMF協定、ワッセナー・アレンジメント、モントリオール議定書、バーゼル条約、POPs条約、ワシントン条約について下記で説明しています。

為替やお金、貿易自体に関する決めごと

自由な貿易を! GATT協定

今はWTO協定に引き継がれていますが、それまでに128カ国が署名していました。自由貿易を推奨している協定です。差別することなく貿易をすることによって経済発展や文化的発展を望むものであり、数量制限の禁止なども盛り込まれていました。協定が破られた場合などには、紛争解決の処理もしていました。

為替の安定に貢献! IMF協定

IMF(国際通貨基金)の設立に伴い、IMF協定では為替の安定や、貿易を妨げる為替制限をなくす協力をしたり、割当額を定めたりすることを目的としています。

世界平和と動物達を守るための決まりごと

兵器や技術の輸出入規制! ワッセナー・アレンジメント

2012年時点で41カ国が参加しており、兵器や技術などの同一箇所への過度な蓄積を防ぎ、正当で責任ある管理をすることで国際社会の安全に貢献する条約のことです。テロリストなどへ、兵器や技術が渡るのを防止する役割もあります。正式名称は「通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント」と言います。汎用品リスト、軍需品リストに基づいて管理されることになっています。

絶滅から守る! ワシントン条約

絶滅のおそれのある野生動物や植物の輸出入規制をした条約です。密輸や密猟などの予防策になっています。合計3万種が対象になっており、その動植物本体だけでなく加工品も規制の対象となっています。

地球の環境を守るための決まりごと

オゾン層を守るため! モントリオール議定書

オゾン層を破壊する恐れのある物質についての消費や輸出入を具体的に制限することを目的とした法律です。フロンや臭化メチルなどが、対象物質になっています。正式名称は、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」です。

廃棄物処理が一部分に偏らないように! バーゼル条約

2012年時点で178カ国が参加している、有害廃棄物の輸出入を規制する条約のことです。廃棄物処理に関して規制が厳しい国(先進国)から規制が緩い国(途上国)へ産業廃棄物を輸出することにより、深刻な環境汚染が増えてきたことによってできた条約です。一定の廃棄物の移動については、許可が必要であり、場合によっては行われる再輸入についても書かれています。ブラウン管やニッケル電池なども対象です。

有害物質を減少させる! POPs条約

正確には残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約という名称ですが、これは緊急性を要した残留性有機汚染物質(POPs)を減少させる目的の条約です。規制される物質に関しては附属書に詳しく書かれています。

中には罰則が無いものもありますが、貿易には法律とまではいかなくても、国同士で申し合わせをする条約や取り決めなどがあることによって、お互いの経済発展や、環境、生態、生活などが管理できていることがお分かりいただけましたでしょうか。貿易をする際には、法律と同様に常に上記に該当しないかどうかをチェックする必要があります。