貿易/物流 お役立ちコラム
貿易に関する基礎知識

貿易条件Dグループ(DAT、DAP、DDP)の概要と流れについて

貿易条件Dグループ(DAT、DAP、DDP)の概要と流れについて

貿易をする際には取り決めが必要です。なぜなら、取り決めがなければ責任の所在、費用のことなど、問題になることが多いからです。インコタームズと呼ばれる国際ルールがあり、それに基づき貿易は行われているため、違う国同士でも問題が起きないのです。今回は、インコタームズに記載されている取引条件の中のDグループについて説明します。

インコタームズ2010でDグループに新たな条件

現在はインコタームズ2010が使われていますが、その前まではインコタームズ2000でした。その中のDグループは、DEQ、DAF、DES、DDU、DDPの5つの条件が存在していました。

  • DEQ (Delivered Ex Quay)…埠頭持ち込み渡し
  • DAF (Delivered At Frontier)…国境持ち込み渡し
  • DES (Delivered Ex Ship)…本船持ち込み渡し
  • DDU (Delivered Duty Unpaid)…仕向地持ち込み渡し及び輸入通関・関税抜き
  • DDP (Delivered Duty Paid)…仕向地持ち込み渡し・関税込み

しかし、これはインコタームズ2010では、DEQの代わりにDATを、DAF、DES、DDUの代わりにDAPを新しい条件としています。DAT、DAPについては、下記で説明します。

輸出者の負担が4グループの中で一番大きいDグループ概要

Dグループでは、輸出者の負担の割合が大きい条件になります。

  • DAT…ターミナル持ち込み渡し
  • DAP…仕向地持ち込み渡し
  • DDP…仕向地持ち込み渡し・関税込み条件

3つの条件があり、そのうちのDATとDAPはインコタームズ2010からの条件になります。

ターミナルがポイント! DATの概要と主な流れ

DATはDelivered at Terminalの略で、ターミナル持ち込み渡しのことです。上記でも書いた通り、インコタームズ2010からの条件になります。これは輸入者側の指定港や指定ターミナルで荷卸しが済んだ段階で費用とリスクが輸出者から輸入者に移転します。この条件は、コンテナ船、在来船どちらにも使用される条件であり、ターミナルとは、コンテナ輸送の場合には、仕向港や仕向地とはCYやCFSなどとなり、在来船の場合には、港の保税倉庫となります。

荷卸はしない! DAPの概要と主な流れ

DAPはDelivered at Placeの略で、仕向地持ち込み渡しの条件です。インコタームズ2010からの条件です。輸入者が指定する地で輸入通関前にリスクと費用は輸出者から輸入者へと移転します。つまり、運送手段の上でリスクの負担が移転されるということです。手続きに関しては、輸出者が行いますが、輸入通関については費用負担も輸入者が行います。輸入通関も輸出者に行ってほしいときには、DDPの条件にするのがいいでしょう。

輸出者の負担は11の条件の中で最も大きい! DDPの概要と主な流れ

DDPは、Delivered Duty Paidの略で、仕向地持ち込み渡し・関税込み条件です。これは輸出者側が、輸入通関費用、諸税を支払い、その後に費用とリスクが移転します。DAPと同じように輸出者が費用とリスクを負担して輸入者の指定地まで商品を運びます。DDPは輸出者の負担が最も大きい条件になります。

Dグループは輸出者側のリスク負担が他のグループに比べて特に、多くなっています。Dグループで貿易を行う際は上記の内容をぜひ参考にしてみてください。