貿易/物流 お役立ちコラム
物流に関する基礎知識

運行管理者の業務とその重要性

運行管理者の業務とその重要性

「運行管理者」というのは、国土交通省が認定する国家資格で、事業用自動車の安全を確保するスペシャリストのことです。「貨物自動車運送事業法」という法律によって、一定数以上の事業用自動車を持つ事業所に、運行管理者の配置が義務付けられています。今回は、物流業界においても必要不可欠な存在である「運行管理者」の業務内容とその重要性について詳しく解説していきます。

運行管理者の業務の種類

運行管理者の主な業務は次の5つです。

1.車両管理

燃料やオイル、ブレーキ、タイヤの確認をはじめとする出発前点検の徹底や、走行距離または積載量といったデータの管理、車検やリースの手配、台替など、物流に必要な車両全般の管理を行います。

2.スケジュール管理

コンビニを始めとする店舗への配送では、店ごとに配送時間が決められています。納品先が指定する時間に確実に到着できるように、出発時間などのスケジュール管理を行います。

3.輸配送ルートの管理

集荷先から配送先へ安全かつ確実に到着するためのルートを作成します。指定時間内に輸配送ができること、走行距離や時間、高速料金や燃料費など、すべてにおいて最適なルートを割り出すことが重要です。納品先や得意先の増減、物流量の変化に応じて定期的にルートの見直しが必要になります。

4.安全管理

対物対人事故や、荷物の破損といった商品事故などを防ぐための管理を行います。

5.労務管理

トラック運転手の勤務時間や休日の確保、体調や健康状態の確認、運転免許証の有無と点数の確認、飲酒チェック、納品先の数など、労務全般の管理を行います。トラックのような大型車両はひとたび事故を起こしてしまうとその被害は甚大です。過去には、ドライバーの過労や過積載などが原因で起きた事故も多く、労務管理は運行管理のなかでも特に重要な業務として位置づけられています。

運行管理の重要性

輸配送のルートやコスト、納品時間を管理する「運行管理」は物流業務のなかでも重要な位置づけです。運行管理が最適な形で行われることによって、「実車率」「稼働率」「積載率」を上げることができ、結果的にコスト削減や利益を生み出すことへとつながります。

最近では、運行管理システム(TMS)を導入する物流業者も多く、これまで運行管理者によって行われていた廃車管理、配送指示、運賃計算、動態管理など、輸配送に係る業務が一元管理されるようになりました。そのため、運行管理者の手間は大幅に軽減され、よりよいサービスを提供することが可能となっています。

物流業者にとって最も大切な「安全かつ確実な荷物の輸送」を行うためにも、運行管理者の業務は大変重要な役割を果たしています。そのため、運行管理者になる人には、誠意ある業務態度や強い指導力以外にも、自動車の構造や走行上の知識や天候が及ぼす自動車への影響に関する知識を持ち合わせていること、法令に精通していることなどが求められます。