貿易/物流 お役立ちコラム
物流に関する基礎知識

物流業務全体を包括するロジスティックとは?

物流業務全体を包括するロジスティックとは?

「物流を制する者は市場を制する」といわれているように、物流というのは企業の経営戦略やマーケティング戦略を行う上で、重要な要素のひとつです。今回は、近年の企業経営において利益を極大化する鍵として注目されている、「ロジスティクス」について、詳しく解説していきます。

ロジスティクスは物流の同義語ではない

「ロジスティクス」というのは、もともと「兵站(へいたん)」という軍事用語から由来した言葉で、兵員、兵器、食料、医薬品といった、戦争で必要な物資を、作戦に従ってどれくらい必要か計算し、効率的に最前線へ届ける活動のことを指していました。

これを現在の物流業務に置き換えると、ロジスティクスとは市場の販売動向に従って合理的に生産や仕入れ、物流を行うことを意味します。「ロジスティクス」と「物流」は同義語として使われがちですが、その業務の範囲には違いがあるため、分けて考えることが大切です。

1.物流が包括する業務範囲

受注(処理)、返品対応、輸配送、保管、在庫管理、検品など、モノの生産や製造、販売を行う過程で発生する業務。

2.ロジスティクスが包括する業務範囲

物流の上位概念で、物流活動で発生する各業務を統合し、モノの流れを一元管理することで全体の最適化をすすめる業務。

ロジスティクスで重要な要素とは

「必要なモノを」「必要な場所に」「必要な分だけ」届けるというロジスティクスの考え方をしっかりと機能させるためには以下の3つの要素が大切になってきます。

1.情報マネジメント

消費者のニーズなど市場の動きに関する情報を把握すること。

2.在庫コントロール

最適な在庫量を決定し、コスト削減や納期の短縮などを行うこと。

3.物流オペレーション

市場が求めているところに、必要なモノを送り込む物流体制ができていること。

上記のうち、ひとつでも欠けたらロジスティクスは成り立たないため、これらを把握・コントロールするシステムの構築は必要不可欠です。

ロジスティクスが機能することで得られる主な効果は次の3つです。

1.物流コストの削減

出荷動向がわからないと欠品を防ぐために、商品を余分に保管する必要がありますが、出荷動向を把握することで、無意味な在庫移動を排除して物流業務を最適化することにつながります。

2.売上げの増加

販売動向をつかむことで、必用な在庫を確保することが可能になり、欠品による売上げロスを減らし、その分の売上げ増加が期待できます。

3.生産コストの削減

販売動向を元にした合理的な生産を行うことで、無駄な生産や、それにともなう売れのこった商品の処分といった生産コストを削減することが可能になります。

このようにロジスティクスはキャッシュフローを改善するのに必要不可欠なものです。収益力を上げるために、モノの流れを一元管理し、業務全体を最適化していきましょう。