貿易/物流 お役立ちコラム
物流に関する基礎知識

物流における環境問題への取り組み方

物流における環境問題への取り組み方

環境への負担を減らす試みは、あらゆる業界と企業にとって重要な課題となっています。物流も例外ではなく、とくにCO2排出量の低減などは国の方針や政策ともリンクしています。ここではこうした物流における環境問題への取り組みについてご紹介しましょう。

物流における環境問題

物流過程における環境問題のおもなポイントは2つあります。1つはトラックをはじめとした輸送手段を用いることによる排ガス等の問題。CO2はもちろん、NOx、PMも対象となります。NOxは窒素酸化物、PMはディーゼル車から排出される粒子状物質です。もう1つは包装、梱包材の廃棄物問題。物流活動では大量のダンボールや木枠が使用されるため、これも環境に対する負荷要因となります。

こうした環境問題に対する取り組みは、環境関連の法令を守るコンプライアンスとも関わってきます。また、CSR(企業の社会的責任)を意識し、環境に配慮する姿勢を打ち出すことは、企業イメージやブランド価値の向上につながります。排ガスと廃棄物という2つのポイントだけではなく、物流センターや倉庫における省エネルギー化、事務処理業務におけるペーパーレス化などに力を入れることも必要でしょう。こうした環境に対する取り組みを統合し、「グリーンロジスティクス(環境にやさしい物流)」として推進している物流事業者も増えています。

環境への負荷を減らすためのアプローチ方法

では、物流業者が行うべき環境問題への取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的なアプローチ方法をご案内します。

無駄な運行を少なくする

最適な輸送・配送ルートを設定することで、無駄な運行を減らすことを目指します。これは業務の効率化にも直結するため、最も実現が求められるアプローチ方法でしょう。長距離の貨物についてはトラックだけでなく、鉄道輸送などを利用するモーダルシフトを採用するのも効果的です。また、異なる企業(荷主)の商品を共同で管理して運送、配送する、共同物流という考え方もあります。

廃棄物の削減

ダンボールや木枠の使用を控え、リターナブルなスチールボックスなどに切り換える業者が増えています。梱包材のリデュース、リユース、リサイクルを推進することも廃棄物抑制に役立ちます。リサイクルを行うには、廃棄物分別の徹底化も必要です。

排出CO2などの削減

CO2などの削減は、まずエコドライブの指導を行い、ドライバーがこれを守ることが必須です。エコカーの積極的な活用も効果があるでしょう。さらに、エコドライブのポイントとなる急発進、急加速、急ブレーキ、アイドリング時間などの情報を収集して分析するエコドライブ管理システム(EMS)の導入も、ぜひ検討したいところです。EMSについては、国土交通省で導入支援制度が設けられています。

物流がもたらす環境問題を解決するには、交通網の整備や輸送手段の拡充、新しい梱包材の開発、リサイクルシステムの整備など外部要因に依るところも大きいといえます。最新の方法を採用しながら、より効果的な環境負荷軽減への道を探ることが大切です。