貿易/物流 お役立ちコラム
物流に関する基礎知識

物流における課題を明確化する方法

物流における課題を明確化する方法

荷主となる企業にとって、物流部門を運用していくことはさまざまな課題と対峙することでもあります。物流を適正に機能させるべく物流改革を成し遂げるには、まず自社の抱える課題は何かということをハッキリさせなければなりません。今回は、そうした物流における課題を明確化する方法をご紹介します。

物流における課題は多種多様

物流における課題にはどのようなものがあるのでしょう。経済産業省・中部経済産業局がまとめた「物流アウトソーシングマニュアル」という資料に、「東海地域の企業の実態①:企業で問題となっている物流課題」という調査結果が掲載されています。これは東海地域の荷主企業を対象としたアンケート調査です。それによれば、荷主企業の52.6%が物流に困っているとしていると記されています。困っているとする企業が挙げている問題は、以下のようになっています(10位までを抜粋)。

1位 小ロット、多頻度オーダーの増加(72.3%)
2位 輸配送コストの増加(66.5%)
3位 在庫過多(47.0%)
4位 受注見通しが立ちにくい(46.0%)
5位 リードタイムの短縮化(43.5%)
6位 納入時間指定の厳格化(41.0%)
7位 回収システム構築への取組(40.5%)
8位 梱包、荷姿の見直し(40.0%)
9位 委託先物流業者の選定(36.3%)
10位 マネジメントへのIT導入の遅れ(34.3%)

(出典:物流アウトソーシングマニュアル
URL:http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/download/buturyu_out.pdf

これを見ると、物流における課題は納品条件、コスト、在庫に関するものが目につくものの、それ以外にも企業によって多種多様な問題があることがわかります。

課題を明確化するには、まず課題を整理する

物流改革を行うには、物流における課題を明確化しなくてはなりません。課題の明確化は、課題を整理することから始まります。前出の「物流アウトソーシングマニュアル」には、整理するにあたり、参考となる指針が示されています。まず、「物流実施上の問題」「物流改革推進上の問題」「物流結果の問題」という3つの項目で分類する、というのがその指針です。この3つの項目の中には、それぞれ次のような具体的な課題が属しています。

物流実施上の問題

□納品条件に関する問題……「小ロット、多頻度納品の増加」「リードタイムの短縮化」「納入時間指定の厳格化」など
□在庫に関する問題……「受注の目処が立ちにくい」「トータル在庫管理ができない」など
□輸配送・拠点の問題……「輸配送ネットワークの見直し」「物流拠点の統廃合」など
□環境対応に関する問題……「資材の仕様縮減」「回収システムの構築」「排ガスのCO2、NOxの削減」など

物流改革推進上の問題

□情報化・物流技術の問題……「IT導入の遅れ、未対応」「情報システム組織、要員不足」など
□物流戦力に関する問題……「外注業者の選び方」「担当者のスキル」など

物流の実施結果の問題

□物流サービス水準の問題……「納期水準」「欠品、誤納入率」「付帯作業対応」「システム接続対応」など
□物流コストの問題……「輸配送コストの増加」「保管、倉庫賃料の増加」「物流担当人件費の増加」など

(出典:物流アウトソーシングマニュアル
URL:http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/download/buturyu_out.pdf

ここに挙がっているもの以外の課題についても、3つの項目のいずれかに分類できるのではないでしょうか。

まず、課題を分類して整理し、明確化すること。さらに、それぞれの課題の因果関係に基づいて、連携した解決策を探ることが肝要です。まずは、自社の物流における課題を洗い出すところから始めてみてください。