貿易/物流 お役立ちコラム
輸入に関する基礎知識

【輸入契約書の作成講座】表面約款で注意すべき3つの条件

【輸入契約書の作成講座】表面約款で注意すべき3つの条件

貿易取引をするためには、輸入契約書が必須です。輸入契約書を作成する際には、表面約款と裏面約款があります。表面約款には契約内容、裏面約款には一般取引条項として取引の条件を記載します。今回は、表面約款の概要と表面約款を作成する際に注意すべきことを書いているので、ぜひ参考にしてください。

輸入契約書は輸入者が自分で作成すること!

海外と取引をする貿易は、言葉の違いや文化の違いなどがあるため、国内取引よりもリスクが高くなることがあります。そのリスクをできるだけ低くするためにも、輸入契約書は細かなところまで気を配らなくてはいけません。

輸入契約書を作る際には、輸入者が自分で作成するようにしましょう。輸出者側に作成してもらうと、相手の都合のいいように書かれてしまう可能性もあります。サインの後、取引を始めてから「知らなかった」という主張は通用せず、サインしてしまった輸入契約書に書かれていることは守らなくてはなりません。相手の作成した輸入契約書に抜けが無いか、不利になっていないか、違うことが書かれていないかをチェックして訂正してもらうより、自分で作成した方がいいと言えます。

リスクに対処! 輸入契約書の裏面約款

輸入契約書には表面約款と裏面約款があり、それぞれに書くべき項目があります。
裏面約款は、

価格調整禁止

船積期間の厳守

契約不履行責任

準拠法や裁判

などに関する取引条件であり、「もしも」に備えたリスク管理になります。

契約ごとに違う! 輸入契約書の表面約款

表面約款は契約内容になりますので、契約ごとに違ってきますが、重要な項目は下記の通りです。

品質条件(Quality)

品質基準、品質を決める時点をはっきりさせておきます。長期取引で安定した品質の商品を仕入れるためには重要な項目です。何か特別な取り決めがなければ貿易条件で決まる場合が多いです。

数量(Quantity)

取引で使用される単位や、一度に納品する数量などに関する項目です。思い違いがある場合も見られるのでしっかり確認しておきましょう。

船積日(Time of Shipment)

日付けに間違いはないか、納期日数はきちんと記載されているかがポイントになってきます。納期も貿易取引をする上で重要なポイントになってきますので、しっかりとした意識のすり合わせが必要になってきます。
輸入契約書に修正があった場合には手書きし、その際には印刷よりも手書きが優先されることになっています。

最初にはっきりさせる! 品質条件の決め方

品質条件は、数量のようにはっきりと明確に正解が分かるものではなく、人の主観が入りやすい曖昧な項目になりますので、細かく決めておくことが重要になります。
例として、

  • 見本売買(サンプルを元に決める)
  • 銘柄売買(商標や銘柄そのものが基準)
  • 規格売買(工業製品に多く、ISO<国際標準化機構>やJIS<日本工業規格>の基準に基づいて決める)
  • 仕様書売買(図面に基づいて決める)

などがあります。品質条件は裁判に発展する場合も往々にしてありますので、最初の段階で輸入契約書に細かく記載しておくのがベストです。

いつの時点にする? 品質を決定するタイミングとは

上述した条件を決めたら、いつ時点の品質にするかを決めます。出荷時なのか、到着時なのか、ここも曖昧になりがちですので、最初にはっきりとさせておきましょう。輸入契約書に取り決めをしない場合には、貿易条件によって決まることが多くなります。

船積品質条件

輸出国における船積の際の品質が、品質条件に合致していればいいという条件。貿易条件はFOB(Free On Board:船積された時点で、商品の所有権が輸入者に移るという条件)かCIF(Cost, Insurance and Freight:輸出者が、輸入港までの保険料や運賃を負担するという条件)の場合に適用になります。

揚地品質条件

輸入地に揚げられたときの品質が、品質条件に合致してればいいという条件です。貿易条件で言えば、DAT(Delivered at Terminal:指定されたターミナルにおいて商品が荷卸しされた時点で、所有権が輸出者から輸入者に移るという条件)の場合に採用されます。
ただし、FOBやCIFでも契約時に取り決めさえしておけば、揚地品質条件にできるでしょう。

これを記載! 表面約款の項目とは

表面約款の記載項目は、品質といった重要条件のほかにも

  • 売主、買主名
  • 品名、仕様
  • 数量、単位 
  • 単価、使用通貨、価格
  • 貿易条件
  • 運送手段
  • 船積時期、納期
  • 船積地と荷揚地
  • 梱包、方法、材料
  • 荷印
  • 保険
  • 支払

などの項目を記載します。

今回は、表面約款の重要ポイントについて説明しました。上記に記載した通り、品質に関する取り決めは重要なポイントですので、注意して輸入契約書の作成を進めていきましょう。