貿易/物流 お役立ちコラム
輸入に関する基礎知識

【輸入の事前準備】引き合いの出し方

【輸入の事前準備】引き合いの出し方

気に入った商品、売りたい商品が見付かり、取引したいと感じる相手を見付けたら、相手と取引を行うための下準備を行います。ここでは、貿易取引をする上で、やっておくべきポイントと引き合い(取引を始めるまでにやるべきこと)について書いていきます。

本当に取引しても大丈夫? 引き合いを行う前に確認すべきこと

貿易をしたいと思う仕入先を見つけたら、引き合いの前にしておくべきことがあります。

商品自体の規制の確認

まず、輸入した商品が、法律や条約の規制対象になっていないかを確認します。許可や申請が必要な場合には、準備を進めておきましょう。

取引しようとしている会社の信用調査

取引をしようとしている相手が、信用できるかどうかを客観的に判断します。貿易が始まってからのトラブルが起きる可能性を最小限に抑えるためにも、相手のことを知っておく必要があります。

自分が見て感じる相手の印象

自分が感じる相手の印象です。主観的になるものの、商売をするに当たって、ある程度自分の直感や判断力も重要になります。相手の雰囲気、自分と相手との相性、相手の意欲、商品の水準の高さなど自分が知りうる情報から、長く付き合えるかどうかを判断します。

日本との貿易取引の経験があるかどうか

日本への輸出経験があるかどうかも聞いておきましょう。経験がある場合には、日本への輸出に慣れているので、日本の基準や常識などについて説明する必要が省けます。
経験が無い場合には、日本へ輸出する場合について最初から説明が必要であるものの、今まで日本で販売されたことがない商品であることが多く、競合がほぼいない中で売れる可能性が高くなるので、商売としてはメリットがあります。

覚えておきたいポイント! 信用調査の3つの「C」

ここでは、上記に書いた引き合い前に確認することの中でも、信用調査について焦点を当てて説明していきます。

  • character 評判、信頼
  • capacity 技術、実績
  • capital 資本金、支払能力

これら3つのCの項目に沿って調査するのが一般的です。また、信用調査をする方法は以下の通りになります。

個人

業界内での評判や、付き合いのある人からの話を聞く方法です。財務の状況については、貿易をしたいと思っている仕入先が、現在取引をしている銀行経由で得ることができます。

調査機関

専門の調査機関に依頼する場合には、お金が掛かります。しかし、自分の手間を掛けずに短期間で調査ができますし、客観的で公正な判断をすることができます。

相手から直接書類を取り寄せる

直接賃貸対照表や損益計算書、会社パンフレットなどの資料をもらって判断します。個人的に引き合いを行おうと考えている相手先と、直接交渉しなくてはならないので、取引がこじれてしまった場合には、関係性が悪くなってしまう恐れもあるので注意が必要です。

いよいよ本格的に接触! 引き合いとは

信用調査が済んで、取引をしたいと考えた場合、次は引き合いを行います。貿易取引をしたい意思表示をして、カタログや価格表、見積もりなどを送ってもらう、貿易取引の第一段階となります。同時に、実績や販売についての詳細も確認しておきましょう。

必要な情報を簡潔に! 引き合いを成功させるポイント

引き合いは、電話を使うことがあるものの、やり取りをした内容が残るメールで依頼するのが一般的です。そのメールに記入すべきこととポイントは、

  • 自己紹介
  • 商品を輸入販売したい意思
  • どうして興味を持ったのか
  • どのような商品に興味を持っているのか
  • 資料、カタログ、見積もりなどをもらうことはできるか

などです。また、この引き合いをするのは、1社だけでなく、複数の業者に依頼するのがいいでしょう。すでに決めた業者があるなら別ですが、複数依頼しておけば、相手が輸出を考えていない場合は別の業者に依頼したり、価格を比較検討したりする材料にもなります。

次のステップへ! サンプル品の入手

引き合いで取引を決めたら、サンプル品を送ってもらいます。サンプル品を送ってもらう理由は、商品の品質を充分に確認する必要があるからです。実際に商品を販売した後のクレーム対応を確認する機会にもなるので、細かなところまでチェックします。サンプル品は品質証明になるため、取引が始まってからも保管することをおすすめします。

もし、取引の途中で商品のクオリティが下がってしまった場合にも、サンプルと同じような品質を保つよう指示することができます。
また、少量のサンプル品を取引することで、万が一取引の際に問題が起きたとしても、解決をした上で本格的な貿易取引に臨むことができます。そのため、その後に本取引に入った際にも、スムーズに進めるようなテスト取引の意味もあります。

今回は、貿易取引の引き合いについてお話ししました。商品を輸入したいと考えた場合には、まず信用調査、引き合いの手順を踏み、サンプル取引で本格的に輸入をするかどうかを検討してみてください。